病院に来られる患者様は色々な悩みや不安を抱えています。私たち薬剤師は服薬指導を通して、患者様が抱えている悩みや不安を少しでも取り除けるよう日々取り組んでいます。
中規模病院の薬剤部ですが、外来患者様や入院患者様の調剤や服薬指導、抗がん剤や高カロリー輸液等の無菌調整、放射性医薬品の検定、感染管理、褥瘡管理、NST(栄養サポートチーム)、医療安全管理、医療講演、PBPMなど様々な業務を行っております。
患者様と同じ目線で物事を考え行動し、安心安全で適切な薬物療法を提供できるようスタッフ一丸となり励んでおります。
薬局責任者 髙井 宏幸
当院の薬局は入院棟1階、外来棟1階にあり、薬剤師13名(2025年4月現在)が所属しています。
業務紹介
調剤業務(内服・点滴)
外来処方、入院処方の調剤・監査を行います。処方箋に記載されている用法用量が適切かどうか、相互作用、配合変化などないか、体重、年齢、検査値、カルテ記載の内容などから確認し、必要なら医師に疑義照会をします。
抗癌剤、高カロリー輸液の調製業務
抗癌剤の混注を薬剤部内の安全キャビネットで行っています。新しく抗癌剤をはじめる患者さんには医師からはもちろん、薬剤師からも薬効、スケジュール、副作用とその対策について説明し、不安なく治療を受けられるよう努めています。
高カロリー輸液とは消化管からの栄養吸収ができない患者さんのための栄養補給製剤です。高カロリー輸液は必要に応じて薬剤部内のクリーンベンチで混注しています。
病棟業務
病棟に薬剤師を配置し、入院患者さんへの薬の適正使用に努めています。
入院時、退院時の面談、アドヒアランス向上のための服薬指導、持参薬の確認、
副作用・相互作用のモニタリング、医師・看護師など他職種との意見交換などを行っています。
医薬品情報業務
医薬品に関する情報を取り扱う業務です。医薬品を適正かつ安全に使用するためには、
投与方法、投与量、副作用、相互作用などの様々な情報を収集し、その情報が適切なものかどうか評価していくことが必要となります。医療機関内で発生した副作用情報の収集も大切な仕事です。
プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)による処方代行入力業務
事前に作成したプロトコールに基づき、入院患者さんに対して持参薬の継続処方や定期処方を薬剤師が代行入力を行っています。PBPMを導入することで、薬剤師の専門能力に基づく薬物療法の高度化や安全性の確保、医師の業務負担軽減に貢献しています。
業務の1日の流れ
午前
8:30 朝礼 業務開始
9:00 外来調剤、入院注射薬調剤、病棟業務(入院初回、退院患者指導)
HCUカンンファレンスへの参加、処方監査、薬品請求、持参薬鑑別
10:00 抗がん剤の混注
12:00 お昼休憩
午後
13:00 翌日以降の内服・点滴調剤、病棟業務(入院患者の指導)
14:00 各科カンファレンスへの参加、回診・ラウンドへの参加
16:00 TPNの混注、医薬品の発注、
17:00 退勤
チーム医療
各診療科カンファレンス
病棟薬剤師は病棟カンファレンスへ参加しています。患者様の治療方針などについて
医師らと協議しながら、一つ一つの症例を共有することで、薬剤師としての臨床経験を
増やしています。
感染制御チーム
医師・看護師・薬剤師・検査技師など各々の職能を生かした感染制御チーム(ICT)を結成しています。
その中で、薬剤師は感染症サーベイランス、抗菌薬の適正使用推進、教育・啓発活動と職員の衛生管理などに大きく貢献しています。
栄養サポートチーム
医師・看護師・薬剤師・栄養士など各々の職能を生かした栄養サポートチーム(NST)を結成しています。その中で、薬剤師は主に静脈・経腸栄養療法における処方設計支援などの役割を担っています。
褥瘡対策チーム
医師・看護師・薬剤師・栄養士・理学療法士など各々の職能を生かした褥瘡対策チームを結成しています。その中で、薬剤師は医薬品の在庫・品質管理、薬剤の提案による医薬品の適正使用などに貢献しています。
身体的拘束最小化チーム
身体的拘束とは、患者様の意思に反して身体の自由を制限することを指し、身体的・心理的な苦痛を伴う場合があります。当チームでは患者様の尊厳を守り、安全な環境で治療を受けていただける環境づくりを目指しています。薬剤師はチームの一員として、不穏や せん妄に対して使用される薬剤を見直し、適正使用を推進しています。
新人薬剤師の声(入職2年目)
入職してみて
入職1年目から中央業務や病棟業務だけでなく、リーダー業務など幅広い業務に携わることができ、大変なことも多い分、非常にやりがいを感じています。
2年目になってからは、病棟カンファレンスに加え、褥瘡対策チームなど他職種との連携業務にも参加するようになり、職種の垣根を越えて話しやすい関係が築けるようになりました。また、薬剤部は年齢の近いスタッフが多く、何でも相談しやすい環境です。
若手のうちから資格を取得し、チーム内で活躍している先輩方の姿を見るたびに、自分も頑張ろうと日々刺激を受けています。
今後の目標
◆幅広い知識を身につけ、患者や他職種から頼られる薬剤師になる
◆“薬剤師さん”ではなく、自分の名前で呼ばれる存在になる
◆自分の得意分野を見つけ、専門性を高める
学生の皆様へ
当院は急性期から回復期まで、さまざまな疾患と患者さんに関わることができます。
病院薬剤師ならではの業務を通じて、薬剤師としての視野が確実に広がっていくと実感しています。
就職先を選ぶ上では、実際に自分の目で見て雰囲気を知ることがとても大切です。
私自身、薬剤部の雰囲気の良さや他部署との風通しの良さが、当院を選んだ大きな決め手の一つでした。
病院に少しでも興味がある方、ぜひ気軽に見学にお越しください。気になることは何でも聞いていただいて大丈夫です!薬剤部一同、お会いできることを楽しみにしています。
先輩薬剤師の声(入職5年目)
外来・病棟業務で幅広い知識を習得
新卒で当院に入職し、調剤・鑑査・投薬などの薬剤師の基本業務から、入退院指導・DI業務・チーム医療での活動などの病棟業務まで行えるようになりました。入院の契機となった疾患の急性期治療はもちろん、入院前から服用している薬剤の見直しにも関わることができるため、ジェネラリストとして成長することができます。
2年目からNSTに参加し、登録機関での実地修練やセミナー受講などを経て4年目でNST専門療法士の資格を取得することができました。NSTでは検査値や全身状態に合わせた経静脈栄養の組成や流速の提案、消化器症状を確認し必要に応じて薬剤調整の提案を行います。
また離島僻地の応援業務にも携わることができます。私は鹿児島県にある大隅鹿屋病院で2ヶ月間、主に処方鑑査・病棟業務・当直業務を行いました。規模や人員配置、業務の進め方など、自身の所属する薬剤部との違いが多くあり、薬剤師として貴重な体験をすることができました。応援先での生活も新鮮で、薬剤師のみならず地元の方々と交流できることも応援業務の醍醐味です。
今後の目標
◆NSTで得た知識を薬剤部で共有する
◆他職種とのコミュニケーションをより積極的に行う
就職活動中の皆様へ
当薬剤部は若手薬剤師が豊富なため、他院に比べて、より一層明るく賑やかな雰囲気のある部署です。先輩薬剤師には業務のことはもちろん、プライベートな相談や趣味の話などでも盛り上がることがあります。最近はガチャガチャについてがホットな話題です。私事ではありますが、3年目の冬に結婚した際もみんなでお祝いしてくださいました。その後のライフステージは検討中ですが、すぐに相談できる上司や支えてくれる暖かい仲間がいることはとても心強く思います。
気になる方はぜひ見学にいらしてください!
教育・研修
湘南厚木病院は全国に74病院を展開する徳洲会グループの病院です。徳洲会グループ薬剤部は、東京本部を中心に北海道、東北、関東、関西、九州、奄美、沖縄の各ブロックに分かれて会議・教育・研修・求人採用などの活動を行っています。
薬剤部会を円滑に運営したり、情報交換に役立てたりするため、各種委員会や研究会が組織されています。北海道から沖縄まで、全国の薬剤師がこれらの委員会・研究会の活動に積極的に携わり、気軽に交流する機会を確保しているのが大きな特徴です。
新人研修
関東ブロックでは、22施設の新人を一同に介し毎年2回(6月・翌1月)新人研修会を実施しております。1回目で、他病院薬剤師との交流を深め横の繋がりを構築し、2回目では、お互いの成長を確認し合い自己研鑽へ繋げております。
交換研修
交換研修は自分が働いている施設以外の病院へ赴き、そこで通常業務を行い研修する制度です。対象は入職2年目以降の薬剤師で、1施設に3~7日、1~2ヶ所派遣します。自病院以外で同じ業務を体験することで、自病院を客観的に見つめることが出来ます。
中堅研修
新人薬剤師研修会や交換研修が1年目から3年目対象であるのに対して、中堅薬剤師研修会では5年目以降の薬剤師が対象です。薬局をけん引していける人材を育成することを目的とし、各病院で選出された研修者は1年を通して3回の研修会に参加します。
専門認定研修
徳洲会には癌や感染制御を始めとした様々な領域で活躍する専門・認定薬剤師が数多く在籍しています。専門認定研修では、専門薬剤師として活躍している先輩達から認定取得に向けてのノウハウや資格を活かしてどのような業務にあたっているのか生の声を聞くことが出来ます。
リスクマネジメント
徳洲会グループでは、患者様の生命を守るべく、医療安全業務に特に力を注いでいます。薬剤部会においては、4ヶ月に1回のペースで地区ごとに集合し、会議を行うなどの活動を行っています。