ご挨拶
画像診断の中でPET-CTやSPECTなどの核医学検査は、CTやMRIに比べてどちらかというと一般的には認知度が低く、CT検査のことは聞いたことがあってもPET-CTやSPECTは知らない、という方が多くいらっしゃいます。
しかし、核医学検査は、歴史的にもCTやMRIよりも古く、大変有用な検査なのです。一口で言うと、CTやMRIは臓器の形態あるいは解剖を映し出すのに比べ、核医学検査では、病気の代謝を映し出す検査なのです。つまり、病気の性質を細胞レベルまで反映することができるので、例えばガンであるかないか、或いはアルツハイマー病であるかないかを特異的に正確にすることができるのです。そして現在も多くの疾患に応用できるPET用の薬剤(試薬)が開発されつつあります。
当院はPET-CTやSPECTの最先端の診療をおこなっています。
RI検査(SPECT)
RIは、Radioisotopeの略称で放射性同位元素といいます。
RI検査は、身体の中に放射性同位元素が標識された薬剤を投与し、身体内に入った薬剤から放出される微弱な放射線を装置で検出し、薬剤の体内動態や集積の分布などを画像化する検査です。CT検査やMRI検査は、主に形態的な画像をとる検査ですがRI検査は、臓器の代謝や機能を画像化する検査でもあります。
検査例
主に実施している検査は下記の検査になります。下記以外の検査については当院までご連絡・ご相談ください。
脳神経系
- 脳血流シンチグラフィ
脳内の血流状態を調べる検査 - ダットスキャン、MIBG心筋シンチグラフィ
パーキンソン症候群やレビー小体型認知症を調べる検査
循環器系
- 心筋血流シンチグラフィ
心筋の血流分布を調べる検査
骨・腫瘍・炎症系
- 骨シンチグラフィ
主にがん・腫瘍の骨転移などを調べる検査
内分泌系
- 甲状腺シンチグラフィ
甲状腺の形態・機能を調べる検査 - 甲状腺摂取率
甲状腺機能を調べる検査 - 副甲状腺シンチグラフィ
副甲状腺の形態・機能を調べる検査 - オクトレオスキャン
神経内分泌腫瘍を調べる検査 等
PET-CT
PET(Positron Emission Tomography)とは、陽電子放射断層撮像法と呼ばれる核医学検査のことです。
ごく微量の放射線の出る薬(18F-FDG)が、がん細胞に集まることを利用して、そのがん細胞から放出される放射線をカメラでキャッチして画像にしています。
最近はPETとCTを同時に検査できる装置が使われており、それをPET-CT検査と言います。
保険適応範囲としては、早期胃がんを除くがん全般、心疾患(心サルコイドーシス等)、大型血管炎(高安動脈炎また巨細胞性動脈炎)になります。
PET撮像施設認証(Ⅰ)
当院のPET撮像施設認証について
当院は、日本核医学会が定める厳格な基準を満たし、診療を主目的とする《PET撮像施設認証(Ⅰ)》を取得しています。この認証は、PET検査を高い品質で実施し、信頼性のあるデータを提供する能力を証明するものです。
患者様に対して最適な診断と治療を提供することを目指し、専門のスタッフが装置の管理と点検を行っております。私たちは、患者様の健康と安全を第一に考え、質の高い医療サービスを提供することをお約束します。
注意事項
- 検査当日は6時間前より絶食となります。
ただし、お水やお茶などの糖分の入っていない飲み物は飲んでいただいてかまいません。 - 血糖値が非常に高い場合は、血糖値が下がるまでお待ちになるか検査を別日に変更する、
または中止になる場合もあります。 - 糖尿病の方は、医師にご相談ください。
- 前日から当日の検査直前にかけて運動は控えてください。
PET-CT検査で使用するお薬
18F-FDGという検査薬は、ブドウ糖に18F(フッ素)を標識した放射性薬剤です。
ブドウ糖によく似た構造をしているので、性質もよく似ています。
がん細胞は正常細胞に比べて分裂が盛んなため、ブドウ糖を3~8倍多く取り込みます。
したがって、放射線の放出される18F-FDGががん細胞に多く集まる仕組みになっています。
また、18F-FDGは薬の寿命がとても短いため、当院では院内のサイクロトロン、ホットセルで作り、検査に使用しています。
18F-FDGを用いたPET-CT検査の被ばく量は約20mSvです。
人体への悪影響はほとんどありません。
乳がん
左図:CT画像 中図:PET画像 右図:PETとCTを
重ね合わせた画像
PET-CT検査でわかること
- 早期のがんの発見ができます。
- 良性、悪性の鑑別が可能です。
- がんの進行度合いの推定ができます。
- がん転移の判定ができます。
- 抗がん剤や放射線治療の治療効果の判定 ができます。
PET-CT検査のお問い合わせ
湘南厚木病院
電話番号 | 046-223-3636(代表) |
検査料金 | こちらから |
アミロイドPET
2023年12月20日より、「レカネマブ(レケンビ®点滴静注)」が保険適用となりました。
これに伴い、アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症が疑われる患者に対し、レカネマブ製剤の投与の要否を判断する目的で、アルツハイマー病の病原タンパク質である「アミロイドβ」が脳に蓄積していることを確認する目的において脳アミロイドPETが保険適用となりました。
当院では脳アミロイドPETを保険適用にて実施致します。
保険適用条件は以下の通りです。
- レカネマブ(レケンビ®点滴静注)製剤に係る最適使用推進ガイドラインに準拠している施設である。
- アルツハイマー病による軽度認知障害または軽度の認知症が疑われる患者に対し、レカネマブ(レケンビ®点滴静注)製剤の投与の要否を判断する目的でアミロイドβ病理を示唆する所見を確認する目的である。
- 脳脊髄液(CSF)検査を行っていない。
上記保険適用条件すべてに該当しない場合は自費診療で承ります。
概要
アルツハイマー型認知症の検査目的とは
物忘れのある人、アルツハイマー型認知症の心配な人、軽度認知障害の人に対して、アルツハイマー型認知症に発展する可能性があるかどうか診断します。
また、認知症の方に対してはアルツハイマー型認知症かその他の原因かを鑑別診断します。
アルツハイマー型認知症について
物忘れから発症し、日時の概念が混乱、自発性の低下などが起こり、認知機能が低下し、社会生活や日常生活が困難となり、これらが進行して、人格崩壊になる脳の変性疾患です。
原因はアミロイドβ蛋白が脳内に蓄積することにより、脳神経細胞の機能低下で起こり、このアミロイドβ蛋白の蓄積はアルツハイマー型認知症の発症十数年前から起ると考えられています。
アルツハイマー型認知症の確定診断は、死後の剖検脳でアミロイド斑と神経原繊維変化を病理学的に証明することです。そのため、臨床診断は生きている間はアミロイド斑を検出することができないため、症状だけでは正確には困難です。
アルツハイマー型認知症の検査目的
物忘れのある人、アルツハイマー型認知症の心配な人、軽度認知障害の人に対して、アルツハイマー型認知症に発展する可能性があるかどうか診断します。また認知症の方に対してはアルツハイマー型認知症かその他の原因かを鑑別診断します。
アミロイドペット検査を中心に行いますが、それ以外の検査を一緒に行うことにより、アルツハイマー型認知症を多角的に分析し診断をします。
検査方法
放射線薬剤を静脈内投与し、60分~90分後より脳のPET撮影を行い、画像作成します。
検査の安全性と副作用
現在までこの薬剤による副作用は、世界中のどこの施設からも報告はありませんし、当施設でもみらまれせん。
またこの検査による放射線の被曝量は胃のバリウム検査1回分の量とほぼ同じで、人体への悪影響はほとんどありません。
この検査でわかること
脳にアミロイド蛋白蓄積の有無がわかります。アミロイド蛋白の蓄積のある物忘れの方、軽度認知障害の方などは、今後アルツハイマー型認知症に発展する可能性があります。
認知症でアミロイド蛋白の蓄積のみられる方はアルツハイマー型認知症か、それに合併した他の原因の認知症と診断できます。
アミロイド蛋白の蓄積のない方はアルツハイマー型認知症に発展する可能性はほとんどないと考えられます。アミロイド蛋白の蓄積のない認知症の方は他の原因の認知症と考えられます。
アミロイドPET検査のお申込み、お問合せ
湘南厚木病院