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地域医療連携 Cooperation

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アミロイドPET検査

2040年には65歳以上の約5人に1人が認知症になる時代が来ると言われています。
認知症の約7割はアルツハイマー型認知症でその原因と考えられている
「アミロイドβ」の脳内蓄積の有無を調べるのがアミロイドPET検査です。

アミロイドPET検査について

認知症の約60%はアルツハイマー型認知症

厚生労働省によると、認知症患者は2040年には65歳以上の約5人に1人が認知症に罹患するという推計値が発表されています。
認知症には、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などいくつかの種類がありますが、中でも日本でいちばん多くを占めるのが、「アルツハイマー型認知症」です。

アルツハイマー型認知症の症状とその原因「アミロイドβ」

「アルツハイマー型認知症」は、物忘れから発症し、日常の概念が混乱、自発性の低下などが起こり、認知機能が低下し、社会生活や日常生活が困難となり、これらが進行すると人格崩壊に至る脳の変性疾患です。
原因は「アミロイドβ」という蛋白が脳内に蓄積することにより、脳神経細胞の機能低下が起こります。「アミロイドβ」の蓄積は「アルツハイマー型認知症」の発症の10〜25年前から始まるということがわかってきました。

アルツハイマー型認知症の確定診断は、死後の剖検脳でアミロイド斑と神経原線維変化を病理学的に証明することです。しかし、生きている間に行う臨床診断では脳内の変化を確認することができないため、これまでは症状のみで「アルツハイマー型認知症」の正確な診断に至るのは困難でした。
近年のPET技術の発達により、「アミロイドβ」の蓄積を画像化することができるようになってきました。それが「アミロイドPET検査」です。

「アミロイドPET検査」の特徴

「アミロイドPET検査」は、「アミロイドβ」と結合する性質をもった放射性医薬品を身体に注射し、その蓄積の程度を可視化することができます。「アルツハイマー型認知症」が発症する前から「アミロイドβ」の蓄積がはじまるので、「アミロイドPET検査」によりかなり早い時期に異常を検出することができます。
「アミロイドPET検査」は、「アルツハイマー型認知症」で約98%、軽度認知障害で約68%、健常高齢者で約33%が陽性となります。早期に発見し、早期に予防し、早期に治療を始めることで認知症の進行を遅らせる効果が高くなります。

「アミロイドPET検査」の評価から「アルツハイマー型認知症」の治療へ

「アミロイドPET検査」は、画像診断に関する一定の修練と試験に合格した放射線診断専門医の中で、「アミロイドPET検査」に関する専門の講習会を受講した医師が評価します。検査で「アミロイドβ」の蓄積を検出すると「陽性」と判断し、検査報告書を用いて主治医(あるいは検査依頼施設)に報告します。
検査で用いられる検査薬は一部の他の疾患でも脳内に蓄積することが知られており、結果の最終判定、またさらには「アルツハイマー型認知症」の治療には他の所見ともあわせて専門医による総合的な判断が必要です。
当院は日本核医学会により「PET撮像施設認証」を取得しており、厳格な基準の下でアミロイドPETイメージング剤を用いて「アミロイドPET検査」を行います。また、日本核医学会・日本認知症学会・日本神経学会が定める「アミロイドPETイメージング剤の適正使用ガイドライン(第3版)」に沿ってアミロイドPET検査を実施しています。

レカネマブ(レケンビ点滴静注)

脳内に蓄積する異常タンパク質「アミロイドβ」を除去し、認知機能低下の進行を遅らせる点滴治療薬レカネマブが2023年12月より保険適用となりました。この治療薬を使用するには、「アミロイドPET検査」で陽性である必要があります。